若狭名水の旅

名水スポット

瓜割の滝(若狭町天徳寺)


天徳寺八十八か所

今から千年以上も昔、若狭の天徳寺は、時の天皇の 勅願時ちょくがんじ としてたてられたということです。この 天徳寺の境内の上手に、四国八十八か所の霊場をかたどった石仏がまつられています。
江戸時代の 文化年間ぶんかねんかん (1810年ごろ)のこと、このお寺の 本如上人ほんにょしょうにん が修行をしておられると、ある夜、 天から不思議な声が聞こえて来て、「この天徳寺本堂の南にあたる白山のふもとに、四国八十八か 所の石仏をまつる霊場をつくれ。その石仏は、もう佐渡の石屋に注文して作らせておいた」といわ れました。
感激した本如上人は、翌朝、その山のふもとへ来てみると、非常に美しい良い場所がありました。 そしてその晩もまた前夜と同じ夢を見ました。 ちょうどその日、小浜の 新物屋善右衛門あらものやぜんうえもん という信心深い人が天徳寺に来たので、上人はこのことを 話されました。善右衛門は上人のご注文をお聞きして、すぐに佐渡へわたりました。
ところが不思議なことに、善右衛門が佐渡に着くと、もう船つき場には「 若州遠敷郡天徳寺行八十八箇所石仏じゃくしゅうおにゅうぐんてんとくじいきはちじゅうはっかしょせきぶつ 」という立て札が立てられていました。善右衛門がおどろいて、石屋の家へ行き、このことを 尋ねました。すると、石屋は「去る3月30日に、一人の坊さんが来て、この石仏を注文していかれたので 、そのとおりにしました」と答えました。善右衛門は、天徳寺での本如上人の夢のお告げの話をしました。 石屋もたいへん感激して、さっそく八十八体の石仏を渡してくれました。
佐渡から帰る海上の旅も無事に、船は小浜の港に着きました。石仏を天徳寺へ運び、善右衛門は上人へ 佐渡でのお話をしました。上人も大層喜んで、うれし涙にむせびながら、白山のふもとに開いた霊地に、 この石仏をおまつりしました。
なお、この八十八体の石の仏様の前の地面には、丸い穴をあけて、四国八十八か所の霊場から運んだ土を 入れてあり、ここを踏むと四国八十八か所へおまいりしたのと、同じ 功徳くどく があるといわれ、昔も今も、 多くの人びとから信仰されております。
                                 「越前若狭の伝説」より
名水を活かしたまちづくり実行委員会